遊びと学び、糸でつながる仲間のメディア

2023.07.26

ジャガード刺繍ってどんな刺しゅう?名前の由来と表現の種類

ジャガード刺繍という言葉を聞いたことがありますか?

刺しゅう業界では当たり前に使われる「ジャガード刺繍」という言葉。「ジャガード織」と何か関係があるのでしょうか?

今回は、そんなジャガード刺繍について詳しくご紹介します。

ジャガードとは

ジャガードは、フランス人のジョゼフ・マリー・ジャカール(Joseph Marie Jacquard)が19世紀初頭に開発した紋織物を織る装置、またはこの装置によって織られた紋織物のことを言います。

その原理は、紋紙(厚紙に穴をあけて図形をデータ化した紙)の穴の開いた部分だけにピンが貫通し、そのピンに連動した経糸が持ち上げられるようになるというもので、穴の開いている、開いていないという構造によってGOとNGが決まり、柄を描いていきます。

分かりやすい動画がありましたので、こちらに紹介します。
(1分12秒ごろから、ジャガードの仕組みが紹介されます。)

この発明以前は、複雑な模様を織るときには織機の運転を中断して、織機上の必要な経糸を持ちあげるという、大変な労力を要していましたが、ジャガード織機の開発によって、経糸を自動的に上下させることができるようになったので、それまでより手間が省け、あらゆる模様に対応することが出来るようになりました。

この、ジャガードの原理(紋紙を用いて信号を読み込む装置)を応用した編機はジャガード編機と呼ばれ、刺繍機はジャガード刺繍機と呼ばれています。
参考:●ファッション・アパレル用語辞典(東京家政大学教授能差澤慧子著/ナツメ社/2013年8月30日初版発行)
●刺しゅうの本(渡辺剛博著/繊研新聞社/2009年2月25日初版第1刷発行)

ジャガード刺繍とは

ジャガードの原理(紋紙を用いて信号を読み込む装置)を応用して作られた刺繍機のことをジャガード刺繍機と呼び、それによって縫われた刺しゅうをジャガード刺繍と呼びます。

現在ではコンピューター刺繍機に置き換わり、紋紙は刺しゅうのプログラムデータに置き換わっていますが、名残としてジャガード刺繍と呼ばれています。

参考:刺しゅうの本(渡辺剛博著/繊研新聞社/2009年2月25日初版第1刷発行)

ジャガード刺繍の種類

では、ジャガード刺繍の表現方法を見ていきましょう。
代表的な手法は、①ステッチ刺繍、②サテン刺繍、③タタミ刺繍があります。

①ステッチ刺繍

柄の模様の輪郭線を直線のステッチで縫いあげます。縫い目の長さや走り回数(重ね縫う数)、またオリジナルなパターンを作成し柄の装飾を多彩に表現します。キルティングやアップリケの止めラインなどに用いられます。

②サテン刺繍

サテン縫いはある程度の幅をジグザグステッチで繰り返しその面を縫います。大きな範囲の面を縫うのには適していません。アップリケの止めの振り部分やロゴ・ネームなど、刺繍では一番多様します。

③タタミ刺繍

タタミ縫いは、その面部分を見た目上タタミの表面模様のように縫っていく縫い方です。広い範囲の面を縫うのに適していて、主に大きなロゴ・ワッペン・ネームなどでボリューム感のある表現ができます。

タナベ刺繍の「ジャガード刺繍」デザイン見本はこちら

応用テクニック

このジャガード刺繍を基本として、応用して生まれた刺繍表現が多数ありますので、いくつかご紹介します。

①スパンコール刺繍

第一に挙げられるのが、スパンコール刺繍です。

オプションのスパンコール(シークイン)装置を取り付けることで、自動でスパンコールを縫い付けることが出来ます。

②レーザーカット刺繍

ジャガード刺繍機にレーザー装置を組み合わせたレーザーカット刺繍機では、「切る」「焦がす」と「縫う」を同時に行った表現が可能になります。

③立体刺繍

ジャガード刺繍に、立体加工を施すことで、立体的な刺しゅうを表現することが出来ます。

ちなみに、スパンコール刺繍に立体刺繍を施すと、グリッター刺繍になります。

既存の刺しゅうテクニックを応用することによって新しい刺しゅうを生み出しているのです。

④他の基礎技術との組み合わせ

ジャガード刺繍に並ぶ、基礎技術の刺しゅうがあと2種類あります。それは、コード刺繍とサガラ刺繍です。

コード刺繍は、紐やテープなどを縫い付けていく技法です。

サガラ刺繍は、かぎ状の針を使ってループやチェーンの刺しゅうをする技法です。

これらは縫う原理が異なるので、刺しゅう機一台でサガラ刺繍やコード刺繍とジャガード刺繍をミックスした作品を作ることが出来ません。※近年ではジャガード刺繍機と一体化されたサガラ刺繍機(サガラミックス機)もあります。

そこでタナベ刺繍では、複数の刺しゅう機を併用することで、一台の刺しゅう機では表現できない刺繍を実現しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ジャガード刺繍とは、ジャガードの原理(紋紙を用いて信号を読み込む装置)を使って作られた刺繍機で作られた刺繍のことを指します。信号を読み込む装置が電子化した現在でも、ジャガード刺繍と呼ばれています。

ジャガード刺繍には、①ステッチ刺繍、②サテン刺繍、③タタミ刺繍の3つの代表的な縫い方があり、実現したい刺しゅうの風合いや、縫う面積などに合わせて使い分けます。

応用として、別で装置を取り付けることでスパンコール刺繍やレーザーカット刺繍を作ることが可能になります。また、立体加工を施したり、コード刺繍機やサガラ刺繍機で縫った刺しゅうと組合わせて刺しゅうすることで、表現の幅を広げることが出来るのです。

それはタナベ刺繍が求める「驚きと感動の刺しゅう」を作り出す一つの方法です。

ぜひ一緒に面白い刺しゅうを作っていきましょう!

私たち、タナベ刺繍は様々なアイテムへの刺繍加工を提供しています。
アパレル・雑貨ブランドのデザイナー様・新ファッションブランドを立ち上げたい方、刺しゅうを使ったものづくりを検討している方に、他にはない独自の表現・手法の刺しゅうを提供しています。
刺しゅうについてご興味・ご検討の方は、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ・ご相談はこちらから


SNSシェア

関連記事

おすすめ記事

刺しゅう糸だけで作った原寸大の「ゴッホのひまわり」を見てきた

こんにちは。刺しゅう研究員の瀬戸内キャンパーMASAKIです。タイトルの通り、今日は原寸大のゴッホのひまわりを、全て刺しゅうで再...

2023.06.30

人気の記事