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2023.03.30

「スパンコール刺繍」と「シークイン刺繍」の違いとは?

お客様との商談の中で、「シークイン」という日本では一般的でない名称を私たち刺しゅう屋さんは使ってしまい、あわてて「スパンコール」と言い直すことがよくあります。

「スパンコール」と「シークイン」は、果たして何が違うのでしょうか?
今回はその違いについて迫ってみました。

スパンコール刺繍とは

【スパンコール(Spangle)の由来】
日本では、写真のような光沢のある円形のフィルムを指し、スパンコール刺繍とはそれを糸で縫いつける刺繍技法のひとつという認識だと思いますが、元来は光を反射させるために使用する服飾資材を意味し、表面に光を反射する加工のされた布のことをスパンコールと呼ぶ場合もあるそうです。

語源としては「Spangle」(スパングル)が「スパンコール」に訛ったという説があり、日本では「スパンコール」の名称が主流になっています。

シークイン刺繍とは

【シークイン(Sequin)の由来】
現在、日本で「スパンコール」と認識しているものは、正確には「シークイン」という名称だとされており、欧米では「シークイン」が主流です。

古くは金貨を意味していたという説もあり、現在では穴の空いた金属やプラスチックの小さな付属品を指します。

改めて「シークイン」というキーワードをインターネットで検索してみると、いくつか解説しているサイトはあるものの断片的な情報が多く、また、刺繍業者間特有の意味合いも含まれるので、改めて「スパンコール」と「シークイン」という名称について業界目線でまとめてみます。

「スパンコール刺繍」と「シークイン刺繍」の違いとは?

1986年(昭和61年)にスパンコールの自動取り付けが可能になった刺繍機がメーカーから発表され、その刺繍機の名称が「シークイン刺繍機」でした。

元々は刺繍業者間であってもスパンコールという名称が使われていましたが、その「シークイン刺繍機」の発表以降、刺繍業者間での機械刺繍によるスパンコール加工は「シークイン刺繍」と呼ばれるようになりました。

機械刺繍によるスパンコール刺繍

また、現在もその名残で、手縫いによる取り付けの場合は刺しゅう屋さんであってもスパンコール刺繍と呼ぶことが多く、
機械刺繍の場合は「シークイン」手縫いの場合は「スパンコール」と、
ある意味「機械刺繍」と「手縫い」を区別するための呼び分けにもなっています。

手縫いによるスパンコールとビーズの刺繍

使用方法(縫い方・取り付け方)

大別して「手縫い」と「機械刺繍」での取り付け方に別れ、そのどちらにも長所と短所があります。

手縫いの場合その自由度がメリットで、レイアウトやビーズ等の組み合わせが楽しめて、正しい縫い方をすれば生地の伸縮を邪魔しません。デメリットとしては当然手作業なので時間が掛かりますし、間違った縫い方や手抜きをすると糸が切れたり抜けることでポロポロ取れてしまいます。

機械刺繍での取り付けは、手縫いの逆となり自由度は下がりますが正確に沢山縫い付ける場合に適しています。また、低い自由度をカバーする為に、機械刺繍の後に手縫いをプラスする手法も多いですね。

※あくまで多くの業界関係者での認識です。
※関係者であっても、職種や取り扱いアイテムによって認識に差異があります。


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